2012年5月12日土曜日

トークイベント「加藤翼:サーチプロジェクトvol.1以後」レポート



昨日はトークイベント「加藤翼:サーチプロジェクトvol.1以後」が行われました。

加藤さんが昨年の大阪滞在製作中に起こった東日本大震災。その翌日に行うはずだった「引き倒し」がスタッフ・関係者らとの話し合いで「引き興し」に変わり、一日中止にした翌日、加藤さんのステートメントに賛同した人たちによって静かに実施されました。その後、アートエリアB1のサーチプロジェクトvol.13月末から展示が行われる予定だったのが、東日本大震災の影響で会期が延期になるなど、加藤さんが間接的ではあるが様々な影響を受けたことで被災地に行くところから話が始まりました。

5月に加藤さんとその友人らが初めて被災地に行き、炊き出し、整体などのボランティアを行ったことでみえたこと、ガレキ撤去を行いながら現地を行き来し、「11.3プロジェクト」が生まれ、実施までの経緯について当時苦労した事、考えたことなどについて話されました。

加藤さんはいわき市で出会った人々との関係性づくりの中で、自分がアーティストとしてやっているプロジェクトの話を最初にしないで、ある程度気心しれてから打ち明けたそうです。「被災後すぐは実質的な支援が必要だけども、その後は精神的な支援が必要だと思っていた。アートでやれる事があると思った」と。震災後だから出来た地元の人との交流と、その人たちが加藤さんの作品を理解するのに時間はあまりかからなかったそうです。

113プロジェクト」も被災地だからといって何でもOKですぐ出来たわけではなく、そこは普通の屋外プロジェクトと何ら変わらない。非常事態の複雑な関係性のなかでは、自分自身がスーパーニュートラルじゃないと出来なかったし、地元の人に知ってもらっていたから何とか出来た。とのこと。
話がどんどん大きくなり、引き興しプロジェクトがお祭りになっていき、自分が意図としていない事や、これがきっかけで震災後の祝祭感が出て、八百万の神ではないけれども、お祭りは外から来た人が作ったんだろうなと思えるほど予想外のことも出てきたそうです。

関係性を作ってから作品を作るというスタイルの加藤さんだからこそ、被災地で出来たんだな、ということが伝わるアーティストトークでした。


(おか)

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